近世は、一般的に、永禄11年(1568)から慶応4年(1868)までの期間を言いますが、その間、わが国の教育は大きな発展をとげました。
足利学校は、自由で開放的な学びと自学自習の精神で、全国から多くの学徒が集まり、その名声は遠くヨーロッパにまで伝えられました。
江戸時代に入り、平和な時代が到来すると、諸藩において、水戸市の弘道館に代表されるような藩士の子弟を教育する藩校が盛んにつくられるようになるとともに、備前市の閑谷学校を嚆矢とする庶民のための学校も数多くつくられました。
また、日田市の咸宜園に代表されるような民間の教育施設である私塾、寺子屋なども日本全国に数多くつくられ、国民の識字率は高くなり、幕末日本に訪れた多くの外国人を驚かせました。
幕府も、昌平坂学問所(現湯島聖堂)をつくり、多くの官僚を育てました。
近世の教育の特徴は、主に儒学(朱子学)を基本とし、学問だけでなく、礼を重んじる教育を行ったことです。
これら学校の普及による国民全体の高い教育水準が、明治以降の日本の近代化の原動力となり、現代まで続く礼節を重んじる国民性として受け継がれています。
なお、下記に、近世の教育施設で、国指定文化財となっている主な教育資産を紹介します。